第一生命グループ女子陸上競技部アドバイザー 尾崎 好美(おざき よしみ)2009年第12回世界陸上選手権ベルリン大会女子マラソン競技銀メダリスト。2012年ロンドンオリンピック女子マラソン代表(19位)。現在は、全国の市民マラソンを通じてランナーを応援。

RUNNING 12 年齢に応じたレースの楽しみ方とトレーニング 今回は年齢やレベルに応じた「ランニングの楽しみ方」をお教えします!

それぞれのライフスタイルや目的に合わせよう

尾崎好美 加齢により体力が衰え、回復するのも遅くなっていくのは、自然なことです。でも速筋は加齢によって衰えやすいものの、遅筋は衰えにくいという性質があります。そういう意味では、ランニングは年齢にさほど関係なく、続けていくうちにどなたでも速く、あるいは長く走れるようになっていきます。ランニングを始めるきっかけが健康診断であまり結果が良くなかったからという30代の方もいれば、定年退職をして時間に余裕ができたという60代の方など、ランニングを始める年齢は様々ですし、同年代でもレベルの差があります。他人と比較するのではなく、それぞれのライフスタイルや目的に合った無理のない「目標設定」をして、楽しんでほしいと思います。
 年齢が上がると、20~30代の頃と同様のトレーニングができたとしても回復力の面では衰えています。疲労がしっかり抜けてから次のトレーニングを入れるなどの工夫が必要です。反対に20~30代の方だと多少の無理がきいてしまうことも。トレーニングを詰め込みすぎると、故障につながるので、セルフケアはどの年代でも習慣にした方がいいですね。

トレーニングイメージ

長期的な目標でモチベーションを維持しよう

尾崎好美 マラソンの楽しみ方もさまざまです。自己ベストを狙うのではなく、「現在の自分がどれだけ走れるのか」を考えたうえで目標タイムを設定するのもいいでしょう。完全にファンランに切り替えて、エイドステーションを完全制覇するとか、旅行を兼ねて地方のマラソンにエントリーするなど、自分だけの「楽しみ」を探すのも素晴らしいと思います。
 もちろん、他の種目(5km、10km、ハーフ、ウルトラ、トレイルレース、トライアスロンなど)に挑戦するのもアリです! 私はフルマラソン以上のレースに出場したことはありませんが、トレイルレースは急勾配のところは歩いても良いのでマラソンより気楽な部分がありますし、自然のなかを走るのは気持ちいいものです。トライアスロンは、スイム・バイク・ランで使う筋肉が違うので、全身を使った運動が可能になります。
 私個人の目標をお話ししますと、自分の子どもが大きくなった時に「親子ラン」の大会に出てみたいですね。それから、WMM(ワールドマラソンメジャーズ)を全部走ってみたいんです! 今のところ、東京、ベルリン、ロンドンは走ったので、あとは米国の3大会(ボストン、シカゴ、ニューヨークシティ)。私もまだまだ走り続けるつもりですし、長期的な目標を持つとモチベーションが維持できるかもしれません。

ご愛読ありがとうございます! 今年度は中上級者向けの内容をお伝えしてきました。年々レベルの高いランナーが増えていることに驚かされる一方で、ちょっと頑張りすぎではないかと感じることもあります。無理をしすぎるとケガにつながることもあるので、トレーニングと休息にしっかりメリハリをつけて、これからも長くランニングを続けてくださるとうれしいです。次回からは「ランニングをもっと楽しむ」ためのチャレンジをお届けします。 次回もお楽しみに!

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