第一生命グループ女子陸上競技部アドバイザー 尾崎 好美(おざき よしみ):2009年第12回世界陸上選手権ベルリン大会女子マラソン競技銀メダリスト。2012年ロンドンオリンピック女子マラソン代表(19位)。現在は、全国の市民マラソンを通じてランナーを応援。

CHALLENGE  03 「ウィンドスプリント」をやってみよう! 「ウィンドスプリント」という言葉を聞いたことがありますか?「流し」とも呼ばれており、短い距離を全力の8割ほどで、気持ちよく走るメニューです。レースやポイント練習の前にも行う、基本のトレーニングですが、市民ランナーの方はあまりやっていない印象です。そこで今回はウィンドスプリントをレクチャーしたいと思います。

スピードを出して走る時の体の使い方を身につけよう。

 毎日ランニングをしている方でも、速いペースで走る機会は多くありません。でも、「速く走る」という“動き”を、普段からやっていないとカラダは忘れてしまいます。それがウィンドスプリントを数本入れるだけで、その“感覚”を呼び戻すことができるんです。そして、単調になりがちなジョギングに「スピード」というスパイスを加えることで、トレーニング効果が高まります。
 ウィンドスプリントに慣れてない方は、まずは短い距離から始めてみましょう。最初は20~30mほどでOKです。急にがんばって走るとケガをする心配があるので、全力の70~80%くらいの感覚で駆け抜けます。3本ほどトライしてみてください。慣れてきたら、距離を徐々に延ばしていきます。最終的には100mのウィンドスプリントを5本ほどできるようになるといいですね。

全力の70〜80%くらいの感覚で

ウィンドスプリントを行う練習場所は?

ウィンドスプリントの練習は、着地衝撃も強くなるので陸上競技場や、芝生などの生えた柔らかくできるだけ平坦な場所が理想的です。道路で行う場合は、例えば次の電柱までをウィンドスプリントで走り、さらにその次の電柱までを軽く流すなど、走る距離の目安として走ってみましょう。その際は、歩道や交通量の多い道は避け、事故に注意してください。

トレーニング強度は高くないのでビギナーランナーにもぴったり!

ウィンドスプリントのメリット

 ビギナーランナーの方は、ゆっくりジョギングしたあと、3~5本のウィンドスプリントを入れるだけで、「走り」が変わってきます。3月号(CHALLENGE 01)でもお伝えした「腰を入れる」という感覚もつくりやすく、フォームが良くなるからです。自然とストライド(歩幅)も伸びてきます。また、ペースを上げて気持ちよく走ることで、速筋も鍛えられ、心拍数を高めることができるのもメリットです。
 しかも、トレーニング強度は高くないため、誰でも行うことができ、時間も数分しかかかりません。負荷の高いスピード練習をしなくても、日々のランニングに少し加えるだけで、ランナーとしてのレベルが上がっていくわけです。特に週1~2回しか走る時間がとれない方は、毎回やると効果的だと思います。ぜひチャレンジしてみてください!

* 速筋とは、瞬間的に大きな力を出せる瞬発性に優れた筋肉のことで、短距離走などで力を発揮します。

次回のテーマは CHALLENGE 04 「走らないトレーニング」で走力UP!

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