第一生命グループ女子陸上競技部アドバイザー 尾崎 好美(おざき よしみ):2009年第12回世界陸上選手権ベルリン大会女子マラソン競技銀メダリスト。2012年ロンドンオリンピック女子マラソン代表(19位)。現在は、全国の市民マラソンを通じてランナーを応援。

CHALLENGE 10 「ビルドアップ走」で追い込む! 今回は様々な効果が期待できる「ビルドアップ走」をご紹介します。前回(CHALLENGE 09)ご紹介した「距離走」の一種で、余裕のあるペースから、徐々にスピードアップしていくメニューです。

持久力だけでなくスピードも養える効率的なトレーニング

徐々にスピードをアップ 一定のペースで走っているとそのスピードで走る筋肉しかつきませんが、ペースに“変化”をつけることで脚筋力と心肺機能のアップにつながります。持久力だけでなく、スピードも養えるので、非常に効率的なトレーニングなんです。
 フルマラソンの「サブ4」はキロ5分40秒、「サブ3」はキロ4分15秒がレースペースになります。フルマラソンを意識したビルドアップ走なら20~30kmで行い、最後の1〜2kmはレースペースくらいまで上げたいところです。また短い距離(10km走など)ならレースペースより少し遅いくらいで入り、徐々に上げていくことでスピード強度の高いメニューになります。
 初級者の方は何kmごとに何秒のペースアップということは考えず、最初は会話ができるくらい余裕のあるペースで入り、そこから徐々に上げていきます。最後は少し呼吸が上がるくらいのペースで走ってみましょう。

10km走の実践例

自然とペースが上がっていく感覚で行うのが理想

腰が落ちないように注意する ペースを強く意識するのではなく、走っているうちにカラダが温まってくるので、「自然とペースが上がっていく」感覚で行うのが理想です。思うようにペースが上がらないときは、無理して上げる必要はありません。そういう場合は、普通のジョギングに切り替えてもOK。無理して行うのではなく、自分のなかの“感覚”を大事にしてほしいと思います。
 最初のゆったりペースがウォーミングアップ代わりにもなるので、時間のない方にもピッタリですし、距離表示がない場所では、20分ごとにペースを上げて、60分走るだけでも、立派なビルドアップ走になります。
 メリットいっぱいの「ビルドアップ走」を活用して、マラソンシーズンを充実させましょう!

次回のテーマは CHALLENGE11 「セット練習」で本番をシミュレーション!

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